みなさん、生きてますか。私はキリンジの堀込高樹さんがご結婚されたときにエントリを一本書いた記憶があります。直後に思いの丈をぶつける、大事です。消化できます。おかげで当時の衝撃はほとんど覚えておりません。未だに名曲Drifterを聴くとき雑念が入るのは仕方ないだろ! リアルタイムに体験した兄ファンとしてむしろ勲章だよ!!
ということで、NMB48の須藤凛々花さんが集金イベントの結果発表時に結婚を宣言するというエントロピーを凌駕する大惨事に触発された皆さんが心の奥にあった開けてはいけない扉をバカンバカン破壊し怨霊を呼び出すさまが実に味わい深かったので、ネットの集合知の好例として記そうと思います。……と当時の記録などをまさぐってたらそれだけで面白くなって分量が増したので、初回は17年前の木村拓哉さんのご結婚だけをお送りします。
この連載のテーマは「しかたがないね」です。終わったことはしかたがないね。
SMAP木村拓哉さんの結婚発表(2000年)
2000年11月23日のスポーツ紙に工藤静香さんの妊娠と結婚をスッパ抜かれる。この日SMAPはさいたまスーパーアリーナでコンサート。終了後に記者会見。
当時の貴重な証言の数々をどうぞ。
2000.11.23.(木)
大介、美保子、雅美ちゃんとSMAPのコンサート。埼玉まで出向く。駅を降りたところから、一見してスマップファンとわかる女性ばかりの巨大な行列に混じってコンサート会場まで行く。ここまで圧倒的に女性に囲まれると、変な気分。スマップのコンサートなんて、もちろん南野これが初めてだ。ファンというのはすごいもので、すべての歌を暗記しているらしい。みんなスマップと一緒に総立ちで踊りながら口ずさんでいる。ここでも浮いた気分を味わう南野。ライオンハートで涙ぐむ周囲を見て、ますます驚く。美保子なんて、自宅からわざわざツヨシ、それから拓哉結婚おめでとう! と大きく書いた紙を用意してきていた。
彼自身、こんな形で知らせる予定ではなかっただろうし、いろいろな対応で疲れていたのではないかと思います。
会場のテンションもやはりちょっと妙だったし…。
多分彼にとって、今日のコンサートは、お客さんがどういう反応を示すのか、ものすごく怖かったのではないかと思います。
そのコンサートは、最初の出はみんな「きゃーっ!」となるんですが、shiosaiや、らいおんハートのあたりでは
、客席から掛け声もなく、妙に静かだった気がします。多分みんなそれぞれに考えることがあったのでは?
(どちらの曲も、歌詞があまりにもタイムリーすぎて、一気に現実に戻された感じで)。
私自身は、ジーっと眺めてしまいました。「ああ、この人が結婚してお父さんになるんだなぁ」と思って。
http://www11.big.or.jp/~naka_ho/rep.o/2000_con/00saitama.htm
『shiosai』
間奏のとき。
「俺、結婚します」と木村さん。
他にも何か言ったんだけど、聞き取れなかった。
すぐに2コーラス目に入っちゃったし…。
だから,少し出遅れてました。
言わなきゃ、気がすまなかったみたいですね。
25日のコンサは生涯忘れられないものとなりました。
舞台に一人で立つ木村さん。
「俺、結婚します」とファンに報告。
声が少し震えていたように聴こえたのは、私だけでしょうか…?①『SMAPオタク?』(26日)
MCでいきなり中居君が、「
えー今日は皆さんにご報告があります」
場内がいっせいにどよめきます。5万人のどよめきです。
「ちょっ、ちょっと待って。そんな期待しないで。
僕が言う事なんて、どうせ大したことじゃないんだから。
じゃあ、木村から…」
「結婚しますっ!!」
『shiosai』間奏の話はさいたまスーパーアリーナ公演のレポのようなので、記者会見前にコンサートで発表があった、ということでしょうか。
キムタク当時28歳。若い! 女性アイドルも30を越えてきた今から考えても空前絶後ですね。おニャン子時代からの工藤静香ファンだったということで、思春期の思いを貫き通した印象は悪くはなかったのではないかと……、いやでも当時のレポ群を見るとお相手が工藤静香さんであることに関する感想などがまったく見られず、そこはこの1年前の熱愛報道の時点でやり終えたところなんでしょうか、それにしても複雑なものを感じます。国内最高峰の男性アイドルが28歳でできちゃった結婚、まあ普通に考えて阿鼻叫喚ですよね……。
この数年前には安室奈美恵さん20歳の妊娠結婚休養もありました。なんだったんだ20世紀。この後アイドル戦国時代を経て「アイドル」という概念がより厳しいものになり、特に女性アイドルは主体的に「私たちアイドルは夢を売る商売である」ということに自覚的になっていったことを考えると、20世紀末はなんとなく許される雰囲気があった時代なのかもしれません。
あからさまな集金イベントも存在してなかったからな、20世紀。アイドル集金システムの確立とそれによってアイドルが背負わされた責任は裏表ですね。そういうのと切り離された文脈でアイドルサイボーグを目指して活動を続けているハロプロ系すごいな。
次回、飯田圭織さん。これも面白おかしく伝説化されちゃいましたが、実際に参加された方の記事を読むと、まあそうでもないみたい、というところです。須藤凛々花さんの件も外野はすげえなあと思うしかないんですけど、「まあそうでもない」と解説してくださる沼の皆さんは存在するので、内部の人間にしか辿り着けない境地は絶対に存在するよな、という気持ち。
フジファブリック『しかたがないね』は2:02あたりから。