北海道長万部町に東京理科大学があります。なぜかあります。
「東京理科大学のある町」、それが長万部のアイデンティティ
基礎工学部という学部の一年生が北海道に住民票を移させられて寮にぶちこまれます。長万部町民の実に5%が理科大生です。東京理科大の入学式は武道館で行われますが、式典の途中で「基礎工生、起立」と命じられ入学式から退場。そのまま全員で飛行機に乗り一路北海道へ。寮の机上に置かれた長万部名物かなやのかにめしを見知らぬ同士でもそもそと食べることから長万部の一年が始まります。脚色なし。
基礎工学部の1年次は全寮制(4人部屋)の長万部キャンパスで過ごす。4月の入学式を日本武道館で終えた新入生は、そのまま大型バス11台程度で羽田空港へ向かう(学生の間では「拉致」と称されている)。このため入学式とは思えない量の荷物を抱えて式に参加する。
何から何までおもしろすぎるシチュエーションでずるい。最近はポケモンGOをプレイしていた学生が気がついたらクマかもしれない野生生物の鼻息を感じるところまで行ってしまい、学内に注意喚起の張り紙が出たことで有名です。
www.sankei.com
山。
海。
女子寮。
女子寮の展望風呂(温泉)。
いやね、北海道でもこんなスケール感のキャンパス普通ないですから! 長万部キャンパス見た後に北大行くと「人多いなー」「意外と建物詰まってる」って思わされるから。広大さで言えば帯広畜産大学や酪農学園大学などもひたすら広いけど、その専門から広いのには理由がある。長万部キャンパスは基礎工学部のみの単科キャンパスです。しかも1年次のみ。ほぼ一般教養科目。その広い敷地、必然性ゼロ。
人文系図書の品揃えがガチ。ありあまる長万部の悠久の時間にこんなのを理系の人が読むと思うともう文系は世の中から必要とされなくなるんじゃないか(被害妄想)
なんだか建築の賞をもらっていた。バブル期が北海道に起こした奇跡のひとつかもしれない。
ひとつ残念なことと言えばこんな面白大学が地元にあることを北海道の人はまず知らないということです。当たり前ですが進学してくるのは99%道外の人ですからね。長万部の人には親しみのあるところなんだろうか。北海道にある私立大学の中ではずば抜けてレベルの高い学校が地域にあることの恩恵とか絶対あると思うので知りたいです。町民は図書室が使えたりするのかしら。
東京理科大学新聞の紹介記事。学内でも謎扱い。
基礎工学部、それは東京理科大学でもっとも謎に包まれた学部である。
入学してすぐ長万部 謎多き基礎工学部【東京理科大学新聞】 | Student Press OB OG Network
一応北海道の盟主であらせられる北大様に対するフォローをしておくと、日本の面積(約38万平方キロメートル)の1/570が北大のもの(660平方キロメートル)だそうです。なんだそれ。札幌キャンパスは全体の0.3%にも満たないらしく、全国の研究林とかを合わせると23区より広いんだってさ。さすが北大様、意味がわかりません。
FAQ よくある質問と回答 | お問い合わせ | サイト案内 - 北海道大学
ちなみに長万部キャンパスは実際に行ってみたらポケGOのポケストが敷地内にひとつもなく、理系大学のくせにIngressをサボったツケがまわってました(滞在時にポケGO的には暇をもてあましたことのなすりつけ)。一年単位で学生が総入れ替えになるから仕方ないのか。
(2017.02.23追記/2017.03.21再追記)
理科大長万部みたいな検索ワードでものすごく順位が上がっているので追記。
この大学生活の1年目で否応なしの集団生活へ放り込まれるというの、実はコミュ障向きなのではないかと思うのです。同期の顔と名前をイヤでも覚えられるし、寮の溜まり場でマリオカートが異様に上手くなるらしいし、2年次以降の大学生活が他学部に比べてもぐんと楽になるようです。二度の大学入学の1年目をロクに繋がりが作れず大学生活が暗黒に終わった人間からしてもうらやましい。人脈大事。
1年目の長万部の印象からか偏差値は他学部に比べて控えめなのに、卒業するときに一番伸びてるのはこの学部と言われるとか言われないとか、そう考えるとお得感あふれます。今は2年次から東京ですしね(何年か前までは2年次から千葉県野田市で「キャンパス移動してなお東京かすらないじゃん…」という境遇だった)。半数は東大や東工大の院に進むので学歴ロンダリングもできるよって卒業生が言ってました。たぶんスマブラもやたら強くなって卒業できる。
致命的に同期と合わなかったときのリスクと天秤にかけて長万部キャンパスは計画的にご利用ください。でも教授の先生方とも触れ合ってきてみた感じ、長万部駐在の先生たちはものすごく面倒見がよいです。同期と合わなかった場合は先生がたが力になってくれるはず。研究室に入り浸る方向で1年を過ごすのもいいかも。
「面倒見がよい」で思い出した、理科大から長万部町への恩恵のひとつとして、榎本教授が主宰し学生たちが長万部町の小中高生に勉強を教える「ピタゴラス」というサークルが30年近く続いています。長万部町民うらやま。
長万部の寮 自主性と知識の交流と
— いくみ=キー君 (@westhill_cold) 2016年9月1日
「 #水曜どうでしょう 」藤村Dコラム52 #westnonews pic.twitter.com/ZhFwLJ05Eu
水曜どうでしょうの藤村Dが理科大に講演に来てました。というかこれを聴きに行くのがこの記事のときに長万部キャンパスを訪れた理由のひとつでした。ヒゲもべた褒め。
あと東京理科大といえばアンサイクロペディアですよね!
http://ja.uncyclopedia.info/wiki/東京理科大学
(2017.05.05 FBのリンクが3桁になっていたことに恐れをなし、長万部駅前の画像など追記。FBはどこへどのように広まってるのか見えないのでこわい。基礎工ネットワークで広がってたら、なんか、ごめんなさい……)
(関連記事)
ICUも寮に放り込まれるのが良い。学生の多様性が凄まじいので多少のことでは「同期と合わない」が起こらなそう。