まず、この記事はナショジオのこちらの記事に基づいた記述にします。ご一読ください。よって逮捕されたご本人に関する話はせず、麻取と麻薬を漫然と調べて麻薬ダメゼッタイの気持ちを新たにするだけの記事です。
コカインの麻薬界における位置
コカイン、オバマ前大統領が使用したことがあると告白していたくらいなので、それほど珍しい薬物ではないと漠然と考えていたのですが、米国では毎年何百トンの勢いで濫用される薬物ランキング第1位であるのに比べ、日本では入手経路が限られていてどちらかといえばマイナー薬物のようです。日本はヒロポンが市販されていた下地のせいなのか覚醒剤の使用が圧倒的です。覚醒剤は覚せい剤取締法、大麻は大麻取締法とそれぞれ別立ての必要があるほどにこの二つは我が国でメジャーなのですが、コカインは「麻薬及び向精神薬取締法」というその他薬物をまとめて放り込むざっくりとした法律の管理下に置かれています。平成29年度の検挙数は覚醒剤が1万人を超えるのに対しコカインはわずか185人*1。
昨年コカインで逮捕されたニュースをいくつか探したのですが、警察による逮捕がほとんど*2。麻取が出てくるニュースは一件だけで、密売を疑われるものすごい量の麻薬が押収された事件でした*3。流通量が少ないがために情報がなかなか入ってこないそうで*4、それだけに麻取が動くときは流通経路の解明が期待できるとの判断があるのかもしれません。
セレブドラッグ*5だの反社と直の付き合いがないと入手困難だのと言われていますが、近年の逮捕者を見る限りはそうでもない印象です。米国で蔓延しきっている薬物なので、留学生が輸入してきちゃったなどもありますね。ただ末端の麻薬常習者にはコカインは持続時間が短いなどでコスパが悪く覚醒剤のほうが支持されるという意味では、ある程度お金に余裕のある人たちが常習になるのかもしれません。いろいろ調べても日本でコカインが広まらない理由は覚醒剤が流通経路的にもお値段的にも圧倒的に入手しやすいからという結論に至りますね……。ダメゼッタイ。
医療用コカインは日本でも使用されていた! キング・オブ・ドラッグ「コカイン」のすべて【ググっても出ない毒薬の手帳】
コカインについてはこの記事が良かったです。ただこちらも謎の粉や葉っぱなどそれっぽい画像が頻出していますので、麻薬経験者には本当に閲覧注意です。
みんな麻薬報道はこういう写真を載せとこうよ
麻薬取締官/麻薬取締員は行政職
今回は逮捕した機関が厚生労働省管轄の関東信越厚生局麻薬取締部とのこと。麻取! と文字列を見ただけで瞬時にアドレナリンが噴出しました。
麻取、警察以外で逮捕権を持つ特別司法警察職員のひとつ、行政職なのに拳銃が持てる。かっこいい! いやかっこいいけど、今調べて「行政職なの……!?」というところが一番驚きが大きかった。厚労省管轄であくまで公安職ではないと。いやだって、警察すらできないおとり捜査が日本で唯一認められている捜査機関ですよ。時には反社会勢力の人たちに溶け込む必要がある行政職とは。Wikipediaには「大学を通じて薬学部でスカウト活動」のようなことが書いてありましたが本当かどうかはわかりません。麻薬に興味を持って薬学部に進んでしまう人というのは少なからずいそうな気がしますが、そういう人はミイラ取りがミイラになる恐れがあり避けられる可能性があったりして。募集要項を見ると必ずしも薬学部卒ではなくても良いようです。
麻取のサイト。とてもスタイリッシュですが、前述の依存症研究者松本先生の言に基づくとかなりの閲覧注意サイトであり、元依存症の方は絶対に近寄らないことをお勧めします。マスコミが用意する小麦粉と注射器なんていう絵面など目ではない、そりゃあ自力でいくらでも調達できますよねという器具や薬物などのリアルな写真がふんだんに使われています。
採用情報を掘っていくと各地でインターンシップの形跡がありました。麻取でインターンシップ。字面のギャップがすごい。
なお行政職の上に地方公務員なのに拳銃も持てればおとり捜査もできる身分の方達もいて、各都道府県庁所属の麻薬取締員がそれに当たります。例えば北海道だと厚労省管轄の北海道厚生局に麻薬取締官がいて、北海道庁にも麻薬取締員がいる、ということです。全国転勤があるかないかの違いかなと思ったんですが、麻薬取締官の採用は地区ごとのようなので、なおさら国家と地方でそれぞれ存在する意味が謎ですね。港で怪しい取引をみかけた等の地方の細かい情報が国の出先機関だと掴みにくいなどの事情があるんでしょうか。
調べて満足系の話なので特にオチはないですが、麻取を扱った本を読んでみたいのでフィクションノンフィクション問わずオススメありましたら是非教えてください。
- 作者: ロベルトサヴィアーノ,Roberto Saviano,関口英子,中島知子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2015/01/24
- メディア: 単行本
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*1:現在の薬物乱用の状況 https://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/yakubuturanyou/torikumi/
*2:https://www.sankei.com/affairs/news/180130/afr1801300012-n1.html https://www.sankei.com/affairs/news/180205/afr1802050017-n1.html https://www.sankei.com/affairs/news/180628/afr1806280005-n1.html それにしてもこういうのをWebで調べるときに産経無双になってしまうことを他の報道機関は危惧しないんでしょうか……
*3:https://www.sankei.com/affairs/news/180317/afr1803170021-n1.html
*4:https://www.sankei.com/affairs/news/161216/afr1612160005-n2.html