にごらない

超雑記

札響600回記念定期演奏会(Kitaraの託児が安い)

 いつもは習い事があり優雅な昼下がりとは無縁に目を吊り上がらせている土曜日。たまたま習い事がお休みだったこの日、思いつきで札幌コンサートホールKitaraで行われる札幌交響楽団の定期演奏会に行ってきました。


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中島公園は取り囲むようにマンションが立ち並んでいて、ちょっと気を抜くと写り込んでしまうダメな写真の例

Kitaraの託児、安い


 札響のKitara定演では必ず託児が備えてあります。Kitaraでは他にPMF関連公演とKitara主催公演で託児があります。思いつきだったので前日夜に空きがあるか確認すると「明日はシッターを2人用意していて今の所の予約が1人なので大丈夫」との返事。こんな直前でも大丈夫なんだ、と感心しながら当日受付に向かったところ、なんと5人に託され児が増殖していました。えええええ。当日突然申し込む人が過半数なのか。


 と思ったら、「今までは当日申し込みも可がウリだったけど、さすがに殺到すると安全確保できません。来月からはできれば前日までに予約してね」というお願いの紙をもらった。ですよね……。


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 で、託児は一公演につき千円なのです。安い。「7月から1,080円に値上げするよごめんね」とも紙に書いてあったけど全然いいよ許すよ。最低4,000円払えば2時間強を子供から離れてコンサートが楽しめるというの、別にクラシックファンじゃなくても育児中の保護者に知られればもっと若い人が来ると思う。と札響定演客の年齢層の高さにおののいた私は思います。ワンオペ育児で疲労困憊の母親とかに売り込もう。


 それにしてもこの託児の「お預かり証」を渡されるという文化が育児1年生のときには衝撃で、キリンジの泰行さん脱退NHKホールのときに「こども引換券! こども引換券をもらった!!」と興奮した思い出。

600回記念の当日券大抽選会


 この日は600回記念の定演ということで、当日券の6人に1人を600円にします! という施策をしており、前の人が当たったのでいいなーと羨んでいたらですね。一番安いC席で2人並びの席が一箇所しか残っていない状態で選択の余地なく購入したらですね。


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当たったよね。まともな社会人ができる方向へ自分のパラメータを振り分けた夫M氏に「きーにごはラック全振り」と常日頃disられるだけあるよね。


 前の人がさも600円で買えることを当たり前のように何の反応もせず去っていったのを目の当たりにしていた私は、めっちゃ喜びの声を当日券売り場のかたにお届けしました。それはそれで後に並ぶ民の反感を買ったかもしれない。

バイオリンはじめました(震える小声で)


 一向に上手くなる兆しが見えないのでほとんど誰にも喧伝していない事実として、2年前、我が家にバイオリンが唐突にやってきてですね、たまにギーコギーコ騒音を振りまいてたんですよね。あまりに騒音しか出ないので途中放り出したりしてたんですけど、思い立って今年に入ってから毎日練習してたんです。


 毎日の修練を重ねてから初めて観るオーケストラでした。感想を一言でいうと「同じ楽器と思えない」。おかしい。ピアノは誰が叩いても同じ音(音程的な意味でも)が出る親切な楽器だなとしみじみした。


 舞台芸術ってマンパワーで圧してくるよなと常々思ってました。普通の演劇でも一人一人が数ヶ月を捧げてきたものの集合体でそのコストにクラクラするのに、歌舞伎なんて幼少時から人生をお稽古に費やした人間の塊でできてる舞台ですよ。一人分のお稽古の厚みを考えるだけで眩暈がするのに、義太夫のかたがた含め何十人規模で人生をそこに費やした人たちが作り上げていることのすさまじさ。


 オーケストラも頭では同じような舞台芸術と受け止めていたのですが、「何十年を楽器に費やす」という時間の重さがよりわかった気がします。バケモンの集まりです。数ヶ月では一音もまともに音を出せない楽器って……。

カフェ・バーコーナーの罠


 前項のように、プログラム前半のモーツァルト交響曲第39番変ホ長調および交響曲第40番ト短調を聴いている間は、頭がフル回転していたのです。音だけではなく、弾き方構え方を一人一人見ていくだけでも、なんの知識もなかった頃に比べ、生で観るオーケストラから受け取る情報量がものすごく増えていて処理しきれないくらい。曲に関する知識が全然ないのにこの情報量、これで曲の知識が増えたらクラシックコンサートって思考の休まる時がまったくないな!? 今まで気持ち良く寝るすばらしい音楽を享受するためだけの空間に思ってたよ!


 ……そう思っていました、休憩が終わるまでは。


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 休憩中にはどうしてもお酒が入らさる(北海道弁)。あと札幌パークホテルという札幌では最高に格の高いホテルの焼き菓子が売ってるんですよ。後述するドリンククーポンも所持していたため、飲むしかない。大事なのは格ゥ!(キンプラ封切おめでとうございます)


 タイミングの悪いことに風邪もひいていて、鼻水すする音を響かせるのはまずい、と第一世代抗ヒスタミン剤(市販でも睡眠導入剤として売り出されるほどに眠くなる薬)を飲んでいたのも良くなかった。


交響曲第41番ハ長調「ジュピター」
第一楽章「この曲はさすがにわかる……知ってる……」(知ってるがゆえにただただ脳内でメロディーをなぞるだけになっていく)「あ、今の部分ドラクエっぽい……」
第二楽章「今のとこもドラクエだった……」「またドラクエ……」
第三楽章「ドラ……クエ……」
第四楽章「……」


 私が生涯で最も聴いているオーケストラもの、ドラゴンクエスト。幼少時から積み重ねた交響組曲ドラクエ経験はこの先にどれだけオーケストラ曲を聴こうとも決して覆る量ではない。酒と薬で完全に脳が「すぎやまこういちっぽい部分に反応するbot」と化してしまいました。幼少時からのお稽古の怖さを思い知りましたね。


 適量の抗ヒスタミン剤はクラシックコンサートにおいて致死量と化します。第四楽章ラストの記憶がほとんどないのは残念ですが、マックス・ポンマーおじいちゃん81歳への惜しみない拍手だけはがんばりました。音楽家は総じて長生きの印象があります。作曲は早晩勝てなくなるでしょうが、バイオリンを弾く、のような音楽を奏でる方向にはAIの普及があまりしなさそうですし、シンギュラリティに震えるみなさんにも音楽趣味はおすすめです。

道新の号外、こども引換券を使う


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 帰りに配られていた道新の号外を持って託児室へ行くと、2歳くらいの女の子が「ママ、ママ」と私を指差してくる。子供にも容赦ないマジレスマンの私は「ママじゃないよ(真顔)」と渾身のマジレスをしそうになりましたが、手に持っていた号外の写真を指差していたのでした。いま演奏を終えたばかりの札響の団員さんも託児を利用されていたのですね。なるほど、札響の公演でいつも託児があるというの、育児中の団員さんへの福利厚生もあったのか。

Kitara Club家族会員に入ろう


 最後に強くお勧めしておくのが年間5,000円のKitara Club家族会員というもので、入会するしかない美味しさです。Kitara主催公演の託児が無料です。これに加えてホワイエでのドリンククーポンが4枚もらえてしまう。乳幼児を持つご家庭は入るしかない。


KitaraClub入会のご案内 | 札幌コンサートホール Kitara

「同居の家族2名」という項目を見て親1人子1人暮らしならどうするの、と思ったけど、保護者と子供という組み合わせでもいいのか。


 つまり、Kitaraにはワンコインコンサートとかあるわけですけど、500円で子を預けて羽を伸ばせるのです! マジでワンオペ育児に絶望してる保護者を全員入会させよう!!


 自分の楽しみのために子供を預けると叩かれるというクソみたいな風潮に対しての言い訳も、クラシックコンサートなら対抗しやすいので本当におすすめです(具体的に言うと飲み会で幼児を預ければ全力で非難してくる私の母親もKitaraでコンサートなら文句を言いません)。


 預けやすさ重視の鬼母思想でなくとも、託児室ではモニターでコンサートの様子が流れており、子供にもすてきな音楽の時間を味わってほしいわと教養を考えて預ける保護者さんも安心です。お酒の弱い人はドリンククーポンもらって調子に乗り酔っ払ってドラクエ脳にならないようにだけ気をつければいいと思います。

9/17はDQ11のすれちがい通信で!


 私の次のKitara予定は念願の都響ドラクエ3コンサートです。心置きなく飲もうと思います。